2.「薬識」は、薬物療法に対して持つべき認識のすべてである。
3.「薬識」は、
1)処方された医薬品の意義を知ること。
2)医薬品そのものの知識を持つこと。
3)薬物療法に必要な事柄を知ること。
4)薬物療法を理解し、容認すること。
4.患者は「薬識」を持つことにより、患者自身が薬物療法に責任を取るようになる。
5.「薬識」は最初は医師から与えられる。
6.薬剤師は患者の持つ「薬識」が薬物療法の目的達成に十分であるかを確認し、不足を補う。
7.「薬識」は「病識」とともに患者の疾病の度合いに応じて的確でなければならない。
(追加)
1.薬識は一人一人の患者が自らが会得するもので、その人の薬物療法の拠り所となるものである。決して、薬剤師が与えるもの、そのものではない。「患者は一人一人が例外的存在である。」(砂原茂一)
2.薬剤師は、一人一人の患者が、その人なりの薬識を持てるように、それぞれに見合った専門的な手段、方法によって手助けする。手助けの根底には人間に対する 愛・真・心と双方の信頼関係があってこそできるものである。
3.患者が薬識をもつということは、自らの薬物療法についての意志決定をして、療養専念の行動を起こすことである。
4.「薬識」は、ときにゆらぐものである。薬剤師は常に的確な情報を提供することにより、エントロピー(不確かさ)を「確かさ」に変え、不安、疑心を取り除かなくてはならない(エントロピ−増大の原則:物事はほっておけばどんどんエントロピ−が増大する)。
5.インフォ−ムド・コンセントは、薬物療法では患者が確固とした「薬識」を持つことによって目的を達成したことになる。