薬識について

薬識チェック    
「薬識」とは、元名城大学薬学部教授 二宮 英氏がつくられた言葉です。
医療従事者特に薬剤師をはじめ、患者さん自身が「薬識」をもつことにより、より安全で有効な薬による治療が行われるのではと考えます。
1.「薬識」は「病識」とともに薬物療法を受ける患者にとって重要な意義を持つ。

2.「薬識」は、薬物療法に対して持つべき認識のすべてである。

3.「薬識」は、
 1)処方された医薬品の意義を知ること。
  2)医薬品そのものの知識を持つこと。
  3)薬物療法に必要な事柄を知ること。
  4)薬物療法を理解し、容認すること。

4.患者は「薬識」を持つことにより、患者自身が薬物療法に責任を取るようになる。

5.「薬識」は最初は医師から与えられる。

6.薬剤師は患者の持つ「薬識」が薬物療法の目的達成に十分であるかを確認し、不足を補う。

7.「薬識」は「病識」とともに患者の疾病の度合いに応じて的確でなければならない。

(追加)
1.薬識は一人一人の患者が自らが会得するもので、その人の薬物療法の拠り所となるものである。決して、薬剤師が与えるもの、そのものではない。「患者は一人一人が例外的存在である。」(砂原茂一)

2.薬剤師は、一人一人の患者が、その人なりの薬識を持てるように、それぞれに見合った専門的な手段、方法によって手助けする。手助けの根底には人間に対する 愛・真・心と双方の信頼関係があってこそできるものである。

3.患者が薬識をもつということは、自らの薬物療法についての意志決定をして、療養専念の行動を起こすことである。

4.「薬識」は、ときにゆらぐものである。薬剤師は常に的確な情報を提供することにより、エントロピー(不確かさ)を「確かさ」に変え、不安、疑心を取り除かなくてはならない(エントロピ−増大の原則:物事はほっておけばどんどんエントロピ−が増大する)。

5.インフォ−ムド・コンセントは、薬物療法では患者が確固とした「薬識」を持つことによって目的を達成したことになる。