1.的確な診断、最適の薬剤・剤形と適切な用法・用量 
2.調剤 
   
   1.2のステップにおける患者行動は共通点が多いので、まとめて記述します。
   
   @アレルギー歴、副作用歴、既往歴、妊娠や授乳の確認  
     望ましい患者行動 ・医師や薬剤師にアレルギー歴、副作用歴、既往歴、妊娠や授乳について的確に伝える。 
       
     薬剤師の対応 ・患者がアレルギー歴、副作用歴、既往歴、妊娠や授乳の有無について医師に伝えてあるかどうか、さらに、そのことについて医師からどのような説明を受けているのかを確認します。
      ・アレルギー歴、副作用歴、既往歴、妊娠や授乳の状況は時間の経過とともに変化するため、薬剤師は、現在の状況を医師に伝えるように患者またはその家族に説明します。
     
       
   A併用薬の確認  
     望ましい患者行動 ・医師や薬剤師に併用薬の有無、併用薬があればその薬剤名を正確に伝える。 
       
     薬剤師の対応 ・薬剤師は、他科受診や併用薬がないかどうかを薬歴やお薬手帳、患者インタビューで確認します。薬剤によってはOTC(一般用)医薬品や健康食品の使用状況確認も必要になります。
       ・「血圧の薬とコレステロールを下げる薬」というように、薬剤の効果で覚えている患者には、相互作用のチェックには正確な薬剤名が必要であることを説明します。
    ・患者自身が薬剤名を正確に覚えることは困難な場合もあります。薬剤師は、お薬手帳を活用する意義について患者に説明することも重要です。
    ・薬剤師は、患者が医師に併用薬について伝えているか、医師からどのような説明を受けているのかを確認します。例えば、抗ヒスタミン剤の重複など、医師が重複を承知して処方している場合もあります。
      ・必要があれば、薬剤師は医師に疑義照会を行い、相互作用・重複投与について確認します。
       
   B薬剤使用性の確認  
     望ましい患者行動 ・医師や薬剤師に使用可能な剤形を的確に伝える。 
       
     薬剤師の対応 ・薬剤師は処方された薬剤の剤形が使用可能なものであるかどうかを、患者またはその家族に確認します。
      ・乳幼児期には散剤を服用したがらず、シロップ剤を好む場合もあります。また、個人差はありますが、学童期になると小さな錠剤なら服用できるようになります。
    ・高齢者の場合、散剤を服用するときにむせやすくなったり、嚥下機能の低下により錠剤やカプセルがのみにくくなったりすることがあります。
    ・いずれの場合にも、薬剤師はできるだけその剤形で使用できるように説明しますが、薬剤の使用が困難と判断したら医師に疑義照会を行い、剤形を変更したり、錠剤の粉砕や脱カプセル、簡易けん濁法などの調剤方法を医師と検討します。
      ・薬剤師は、患者またはその家族に薬剤使用性は変化することを理解してもらい、医師に直接情報提供する必要性を説明します。
       
   C生活パターンの確認  
     望ましい患者行動 ・医師や薬剤師に食事の回数や時間、起床時間、睡眠時間などの生活パターンを的確に伝える。 
       
     薬剤師の行動 ・新生児や乳幼児では一日に何回も食事(ミルク・母乳・離乳食)をしたり、睡眠も夜間だけでなく日中も昼寝をします。
* 例えば、用法が「1日3回毎食後服用」の場合、成人と同じように毎食後に服用することは難しいでしょう。
* 薬剤師は、薬剤の特性を考慮した上で、食事の回数や時刻、睡眠のパターンを確認し、できるだけ適した時間に服用できるように説明します。
       
      ・幼稚園や保育園に通う幼児期や学校に通う学童期においては、園や学校で服用させてくれない、子ども自身で服用ができないなどの理由で、昼食後の薬剤を服用できない場合があります。
* 薬剤師は、患者の生活パターンを確認し、最適な方法を保護者や医師と検討しましょう。
* 例えば、1日3回服用の薬剤の場合、1日2回服用に変更が可能かどうか、あるいは昼食後の服用分を時間をずらして服用が可能かどうかなどの検討をします。
       
      ・成人の場合、食事の時間が不規則、夜勤の多い勤務など、服薬に支障がないか確認します。
    ・いずれの場合も、薬剤師は患者に、服用時間や服用の間隔の違いが薬剤の効果に影響を与えることもあることを理解してもらい、生活パターンについても医師に報告するように説明します。
       
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